揺らめく一点一点の灯り
その場を仄かに柔らかく照らす灯り
その灯りがふと目にとまると
目の奥で何かが静かに拡がり始める
そしてその拡がりはどこか懐かしく温かい
毎年恒例の秋のイベントが始まった
市民参加型のこのイベントは、本当に多くの方々に支えられて10年以上続いており、地元のみならず、他県に向けても秋のイベントとして認知されている。
松江水燈路
イベントの内容は主に10月の週末を中心に、地元の城(二の丸や石段を中心に)や城を取り囲む堀川沿いを手作りの行灯でライトアップするもので、数年前には「ふるさとイベント大賞」で優秀賞も受賞したとのこと
家族連れや友人同士で賑やかに楽しむ方々
1人カメラを片手に、真剣そのものでこの情景を作品にしようとする方
そして同じ灯りを見つめながら、静かに互いの気持ちを語り合う方々
全ての方に共通するのは、灯りの包容力とでも言うべきものに多かれ少なかれ魅了されていることではないかと思う。
どこかしら表情に共通点が見える。
普段はあまりオープンにしない感情や考えなど、灯りの元ではごく自然に出せるのかもしれない
またこのイベントでは、通常は行われない遊覧船の夜間運行がある
行灯が作る柔らかな明るさの中、時折光船に照らされた木々を見ながら静かに進んでいく遊覧船は、昼間とは違い幻想的ですらある
そして単に同じ遊覧船に乗り合わせた見知らぬ者同士であるにも関わらず、周りの方々との緩やかな繋がりさえ生まれる
自身も何度か乗船したのだが、同じ情景でも目線の高さが違うだけで、受ける印象が全く異なるのは不思議だ。
また水面と光で作られる情景と自身とが一体化していくような感覚を覚える
灯り、水、そして光
日常当たり前に存在するこれらの要素が組み合わさって、非日常を感じさせる時空間を作り出す
そこには人のより深い感情や感覚に直接訴えかける何かがある
その場にいられる事、感覚を味わえる事に心から感謝したい情景の一つである