距離感

ああ、私は一体いつまでこの男達の相手をしなければならないのか。

 

1人、また1人と私を求めてくる、、、。

終わらない時間。

 

誰か、助けて、、、。

 

 

もう限界だ、身体中が悲鳴をあげている。

 

、、、でも気持ちとは裏腹に、体は勝手に動く、、、。

 

彼らの求めに応じるべく。

課された義務を果たすべく。

 

彼らがそうするしかないのは分かっている。彼ら1人では出来ない。

ならば、私が犠牲を払ってでもやり通すしか。

 

 

今日は、一般市民が時代衣装を身につけて、市中を練り歩くイベントの着付けを担当した。

 

例年協力してくださるボランティアの方は少なくないが、対象者が多い為、どうしても1人の負担が高くなる。

私が担当したのは、30〜60代の男性陣の衣装着付け。

結果的に、5、6人は担当したろうか。

 

正直慣れてしまえば、ものの数分で終わる着付けだが、私も相手もあまり慣れていない中、ぎこちない場面も多く、、、。

 

そして何より、衣装を着付けるという事は、距離感が限りなく近くなるという事。

 

その点は互いに承知で、照れず、ためらわず堂々と行い合うのだが、手が触れ合ったり、抱きつくような形になったりと、なかなか小っ恥ずかしい。

 

、、、そして最大の難関は袴の着付け。

 

相手の正面に立ち、帯留めを正しく行うには、どうしても膝を折り、視線が相手の下腹部辺りになってしまう。

 

、、、この位置関係、仮に締め過ぎではないかと相手を気遣い、目線だけ上に持って行こうものなら、、、。

例え相手が父親と似たような年齢であったとしても、何か新たな関係が生まれそうになる、、、。

 

いわんや好みの相手においてをや。

 

男性を着付けると決まった時点で、力を出さずに行おうと決めていたが、結局、

 

男性A「あなたにしか触られたくない」

 

とまで言わせてしまった始末。ああ、難しい、、、。

 

 

なんとか着付けも終わり、イベントも終盤、紫派藤間流師範による日本舞踊が披露された。

 

短時間ではあったが、力強さと繊細さ、そして男の色気が合わさった、素晴らしい舞台だった。

日本舞踊、歌舞伎、能、、、知識を深めてみたい分野。

日常とは違う時間の流れが感じたい。

 

だが、とりあえずは後日、上司にどんな顔して挨拶するか、、、。

 

ちょっと悩む。

 

 

 

 

 

 

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